赤ちゃんや妊婦もOKのインフルエンザ対策!ワクチンの効果や副反応を説明します

毎年11月末から2月中旬くらいまでをピークに、3〜4月に入っても感染してしまう場合がある「インフルエンザ」。

インフルエンザにかからないために有効な方法にワクチン接種がありますが、ワクチンに対して間違った理解をもって、接種しない人も少なくないと思います。

そこで今回は、インフルエンザワクチンを接種した場合に期待できる効果や副反応、赤ちゃんや妊婦、妊活中の人が接種するときのポイントをご紹介します。

インフルエンザワクチンの効果は?なぜ「効かない」と言われるの?

まず「インフルエンザにかかる」というのがどういう状態かというと、

①体の中に入ったウイルスが細胞に侵入して増殖する「感染」
②ウイルスが増えて発熱やのどの痛みなどの症状が出現する「発病」
③肺炎や脳症などの合併症が現れ、入院治療を必要としたり最悪の場合は死に至る「重症化」

の3つの段階にわけられます。

最も大きな効果は「重症化」を予防すること

そしてインフルエンザワクチンに期待できる最も大きな効果は、重症化を予防すること。国内の研究によれば、82%の死亡を阻止する効果があったとされています(※)。

もちろんワクチンを接種することにより、発病リスクもある程度抑えられることはわかっていますが、絶対に感染、発病しないというものではありません。

そのためワクチンを接種していたとしても、インフルエンザに感染して高熱や全身の倦怠感、のどの痛みなどのつらい症状が出てしまうことは起こりえます。

それでも、後遺症が残ったり命の危険に晒されうる「重症化」を防いでくれるという点で、インフルエンザワクチンは「効果がある」と言えます。

ワクチンが「効かない」と言われるのは?

医師 注射 女子

インフルエンザにはA、B、C型があって、毎年流行する型が違ったり、稀に新型が出現してニュースで報じられることもあります。

そのため違う型で感染してしまったり、発病して39〜40度の高熱が症状と出てしまった人の中には、「ワクチン接種したのにインフルエンザにかかった」と言う人もいるでしょう。

その結果、「インフルエンザワクチンが効かない」といった話がひとり歩きしてしまっていると考えられます。

しかしワクチンの最も重要な効果が、「重症化を防ぐ」ことだと正しく理解していれば、これらの話に惑わされず、予防接種することの大事さが理解できますよね。

インフルエンザワクチンの副作用はある?死亡例は?

男子 ベッド ぐったり

インフルエンザワクチンについて、副作用(副反応)があるという話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、結論から言うとまったくないとは言えません

ワクチン接種を受けた人のうち、接種した箇所の赤み、はれ、痛みを訴える人は10〜20%、発熱、頭痛、寒気、だるさなどを訴える人は5〜10%ほどいると言われています。ただし、いずれも通常2〜3日でなくなるほどの軽微なもの(※)。

まれに、発疹やじんましん、呼吸困難などになる「アナフィラキシー様症状」がみられることもありますので、もしアレルギーがある場合は事前に相談した方がよいでしょう。

ワクチンによる死亡事例について

ワクチン接種後の死亡例は年間3件ほど報告されていますが、これは2,000万分の1ほどの確率で、ワクチン接種との因果関係も明らかにされていません。

また死亡例のほとんどが、高血圧症や高脂血症、糖尿病などの基礎疾患などがある高齢者だったということです(※)。

インフルエンザワクチンの接種によって、なんらかの副作用は起こりうると思っておいた方がいいかもしれませんが、副反応(副作用)のリスクを考えて接種しないより、接種したことで得られる発病・重症化の予防効果のほうが大きいのは間違いないでしょう。

赤ちゃんや妊婦はワクチンを接種していい?

インフルエンザワクチンの予防接種は、毎年秋ごろから受けることができ、赤ちゃんや妊婦さん、妊活中の人でも接種が推奨されています

というのも、感染症のワクチンは、病気の原因となる細菌やウイルスを生きたまま体内に注入する「生ワクチン」と、細菌やウイルスの毒性を完全になくし、免疫を作るのに必要な成分だけで作られた「不活化ワクチン」の2種類があります。

インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」なので病原性がなく、妊婦さんでも接種が可能で、母体・胎児とも悪影響を及ぼさないと考えられています(※)。

赤ちゃんの接種は生後6ヶ月以上から

赤ちゃんのインフルエンザワクチンの接種は、生後6ヶ月以上から効果が見込めます。しかし小さな子どもの場合、一度の予防接種で得られる抗体が、大人と比べて少なくなります。

そのため、6ヶ月以上13歳未満の子どもの場合、およそ2〜4週間の間隔を空けて2回接種することではじめて、予防可能なレベルの抗体を獲得できます(※)。

接種から効果が出るまでは約2週間かかるので、本格的な流行に備えるためには、遅くても10月下旬には1回めの接種を行うのが望ましいでしょう。

妊婦の接種は問題なし。アレルギーに気をつけて

妊婦

妊娠週数を問わず、インフルエンザが流行する少し前の10~11月に予防接種を受けることが推奨されています。

また、妊娠中に予防接種を受けておくことで、生まれてくる赤ちゃんが生後6ヶ月までにインフルエンザにかかる確率が下がることもわかっています(※)。

生後半年未満の乳児はインフルエンザワクチンを打つことができないので、ママが予防接種を受けておくと、赤ちゃんの健康を守ることにつながりますね。

ただ、卵アレルギーや鶏肉アレルギーがある人は、ワクチンを受けることによって血圧が急激に下がるなどのアレルギー症状を起こす恐れがあるため、予防接種を受ける前に医師に相談してください(※)。

インフルエンザワクチンを正しく理解して、早めに接種しよう

アメリカではインフルエンザワクチンを接種していないと入学や入社ができないところもあるほど、ワクチンの有効性は医学的に認められています。

もちろん感染や発病を100%防げるものではありませんが、万が一の重症化の予防のためにとても重要です。

それでも子どもに高熱や体の痛みなど、インフルエンザと思わしき症状が見受けられたら、すぐに小児科を受診しましょう。小児科でも親子で診てもらうこともできますよ。

無料で医師に相談できるアプリ「キッズドクター」の活用も

キッズドクター アプリ

もしインフルエンザワクチンを接種していいか迷ったときや、高熱が出て「インフルエンザかも?」と思って検査を受けたいときは、医師に電話相談したり、自宅で検査・診断してもらうことができる無料アプリ「キッズドクター」を活用してみてください。

参考文献:
厚生労働省「インフルエンザQ&A」

日本産科婦人科学会『産婦人科診療ガイドライン産科編2017』
横浜市衛生研究所「インフルエンザワクチンについて」
日本産科婦人科学会「妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A」